胃底腺ポリープとは
胃底腺ポリープは胃の粘膜に発生する良性の上皮性ポリープで、腺組織である胃底腺の過形成により腺管が囊胞状に拡張することで形成される小さな隆起性病変です。自覚症状が乏しく、健康診断や人間ドックで初めて指摘されることが少なくありません。特に40代以降の女性に多く見られますが、男性にも起こり得ます。
胃底腺ポリープは、基本的にはがん化する可能性が非常に低いため、過度に心配する必要はありません。ただし、大きさや数が増える場合や他の病変と鑑別が必要な場合には、継続的な経過観察や追加の検査が重要です。
胃底腺ポリープの症状
胃底腺ポリープは、ほとんどのケースで症状を伴いません。小さなサイズのものが多く、数ミリ程度であれば胃の機能に影響を及ぼすことはありません。そのため、特別な異常を感じることなく日常生活を送る方が大半です。
ただし、ポリープの数が多かったり、まれに大きくなる場合には、胃の不快感や膨満感、軽い胃もたれのような症状を覚えることもあります。また、極めてまれではありますが、ポリープが擦れたり破れたりすることで、出血を伴い黒い便(タール便)が出ることもあります。こうした異変がみられた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
胃底腺ポリープの原因
胃底腺ポリープが発生する原因は、主に胃酸の分泌と関係していると考えられています。特に長期間にわたってプロトンポンプ阻害薬(PPI)と呼ばれる胃酸を抑える薬を服用している方に多く見られる傾向があります。PPIの使用によって胃酸の分泌が抑えられると、胃の粘膜にある胃底腺が刺激され、過形成を引き起こすことが原因と考えられています。
また、ピロリ菌に感染していない人ほど胃底腺ポリープができやすいこともわかっています。ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍の原因として知られていますが、胃の粘膜を萎縮させる性質があるため、感染していると逆にポリープができにくくなる傾向があるとされています。このため、ピロリ菌が陰性で、PPIを継続して使用している方に胃底腺ポリープが多く見られます。
胃底腺ポリープの治療法
胃底腺ポリープは良性であることが多く、がん化のリスクも極めて低いため、通常は治療の必要はありません。定期的な内視鏡検査によって、サイズや数の変化を観察していく方針が一般的です。
ただし、ポリープが急激に大きくなったり、形状がいびつで悪性の可能性が否定できない場合は、生検と呼ばれる組織検査を行い、病理診断によって性質を確認することがあります。また、出血を伴うポリープや、胃の不快感の原因となっている場合には、内視鏡的に切除を行うこともあります。
薬剤の影響が強く疑われる場合は、必要に応じて胃酸抑制薬の使用を見直すことで、ポリープの縮小や自然消失が期待できるケースもあります。そのため、自己判断で薬の中止をするのではなく、専門医と相談しながら適切に管理することが重要です。
