日帰り大腸ポリープ切除

日帰りポリープ切除

従来は大腸のポリープを切除する場合、1泊2日、もしくは2泊3日の入院が必要でした。ポリープは切除した当日または翌日が後出血などの偶発症が出現しやすい時期であるため、入院し緊急時にいつでも対応できる体制を整えておく必要があったからです。
しかし、最近は患者様の肉体的・経済的負担軽減、医療費の抑制、内視鏡設備の高性能化、切除時に使用する高周波装置の安全性の向上などから日帰りで大腸ポリープ切除を行う施設が増えています。当院でも原則、検査当日にポリープを切除しその日のうちにお帰りいただいています。

日帰り切除の安全性

前述したように当院では原則その日にポリープを切除いたします。大きさ・形状・存在部位などから切除可能なポリープを的確に判断しさえすれば、日帰りでも十分に安全にポリープを切除できます。さらに内視鏡手技に熟練した医師が行えば安全性はさらに高まります。
ただし、大きなポリープ、癌が疑われるポリープ、粘膜の深層まで入り込んでいるポリープ、平坦型のポリープなどは切除後のリスク(出血や穿孔、取り残しなど)が高いため大学病院、総合病院などの専門医療機関にご紹介し治療を行っていただきます。

大腸がんを未然に防ぐ 最大の予防法

大腸がんの発生に関しては諸説ありますが、現在では、まず大腸の粘膜にポリープが発生し、次第に大きくなり一部が癌化し、そして進行がんに至る説が最も有力です。
したがって、まだ癌ではない良性のポリープの段階で切除してしまえば大腸癌の発生を未然に防ぐことができます。すべてのポリープが癌化するわけではありませんが、腺腫というタイプのポリープの一部には将来癌化するリスクが高いものがありますので、腺腫が疑われる場合は基本的に切除します。

  • 10mmの大腸ポリープ
    10mmの大腸ポリープ
  • NBI観察
    NBI観察
  • 拡大観察で腺腫が疑われます
    拡大観察で腺腫が疑われます

ホットポリペクトミー・コールドポリペクトミーどちらにも対応可

ポリープを切除する際は、通常スネアというワイヤーでポリープの根本を締め付け高周波電流を流し焼き切ります(ホットポリペクトミー)。従来よりよく使われている手法で、今でも多くの施設が採用している処置です。通電時に組織の熱変性が起こるため、ポリープ周辺粘膜の組織も挫滅することから遺残(ポリープの取り残し)が少なく、また切除と同時に止血も行うため切除直後の出血も少ないといった利点があります。
ただし、通電時間が長くなると組織障害も強くなり、切除後しばらくしてからの後出血を引き起こしたり、最悪の場合は穿孔といって腸に穴があいてしまいます。

そこで最近ではコールドポリペクトミーという高周波電流を流さない手法が欧米を中心に広がっています。コールドポリペクトミーはワイヤーでポリープの根本を締め付けるまではホットポリペクトミーと同じですが、通電せずにそのままワイヤーをさらに締め付け一気に切除します。通電による止血処置はできませんので、切除直後は出血します。
ただし、出血は2〜3分ほどで止まることがほとんどです。また通電していないため、後出血や穿孔のリスクはほとんどありません。

デメリットとしてはポリープ周辺粘膜を含めて完全に切除しないと遺残(取り残し)のリスクがあること、止血を確認するまで少し時間がかかること、中等度以上の大きさのポリープには行えないことなどがあります。
ちなみにコールドとは処置器具が冷たくなるというわけではなく、ホットの対比として使われている用語です。

  • 粘膜下層にインジゴカルミン・生理食塩水を注入します
    粘膜下層にインジゴカルミン・生理食塩水を注入します
  • ポリープの根元を正常粘膜を含んでスネアで絞扼し切除します
    ポリープの根元を正常粘膜を含んでスネアで絞扼し切除します
  • 切除後潰瘍底に遺残はなくきれいに切除できました
    切除後潰瘍底に遺残はなくきれいに切除できました

高周波手術装置VIO200Sによるポリープ切除

ポリープをホットポリペクトミーで切除する際は、高周波手術装置を用います。当院はエルベ社製の高周波手術装置を採用しています。エルベ社はドイツの医療機器メーカーで内視鏡手術の高周波装置のシェアは世界1位です。日本国内でも多くの医療機関がエルベ社製の高周波装置を導入しています(国内シェアも1位です)。
高周波装置にはグレードがありクリニック・診療所ですとVIO50Sを導入している施設が多いのですが、当院は上位モデルのVIO200Sを設置しております。VIO50Sとの最大の違いはエンドカットモードを搭載していることです。

VIO200S

通常、ポリープを切除する際は切開波と凝固波を交互に出力し徐々にポリープを切除していきます。切開波だけですと出血量が多くなり、凝固波だけですと組織挫滅が強く出過ぎてしまい、ポリープ以外の正常粘膜にも損傷を与えてしまいます。そこで、切開波、凝固波を足もとのペダルで踏み分けバランスよく切除していくのですが、このあたりは医師の勘によることも多いのが実情です。

つまり、きれいに切除できるかは内視鏡医の技量に左右されます。一方、エンドカットモードはこの切開波、凝固波の踏み分けを機械が判断し、最も効率的な方法で切除を行います。ペダルを踏み分ける必要はなく、一方のペダルを踏み続けるだけで切除が完了します。実際、VIO200Sのによる切除は、出血量・組織挫滅が明らかに少なく患者様にとって負担の少ない医療機器であるといえます。

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