憩室炎とは
憩室炎(けいしつえん)は、大腸の壁にできた小さなくぼみ(憩室)に炎症が生じる病気です。憩室自体は加齢とともに誰にでもできうる変化であり、特に高齢になるほどその数が増える傾向があります。憩室があっても必ずしも症状が現れるわけではありませんが、そこに細菌が入り込んで感染や炎症が起こると、腹痛や発熱などの症状が現れるようになります。これが「憩室炎」です。
憩室炎は比較的よくみられる疾患であり、軽症で済むこともありますが、重症化すると腸の穿孔(穴が開く)や膿瘍(うみがたまる)などを引き起こし、緊急の処置が必要になることもあります。そのため、早期に適切な対応を行うことが大切です。
憩室炎の症状
憩室炎の症状は炎症の程度や進行具合によって異なり、軽症では腹部の違和感や軽い痛みのみで経過することもありますが、炎症が進行すると腹痛や発熱、消化器症状が現れます。
日本人では右側結腸(特に盲腸〜上行結腸)に憩室ができやすく、右下腹部痛として現れることが多く、虫垂炎と似た症状を示す場合があります。一方、高齢者や欧米型の憩室分布では左側結腸(特にS状結腸)に発生しやすく、左下腹部痛が主症状となります。炎症が進むと38℃前後の発熱を伴うことがあり、血液検査では白血球数の増加やCRP(炎症の指標)の上昇がみられます。
また、下痢、便秘、吐き気、腹部膨満感などの消化器症状を伴うこともあり、これらの症状は突然出現し、時間とともに悪化することがあるため、強い腹痛や発熱がある場合は腸管穿孔や膿瘍形成などの重篤な合併症を防ぐためにも、早期の受診が重要です。
憩室炎の原因
憩室そのものができる原因としては、長年にわたる腸への圧力の蓄積が関係しています。特に食物繊維が不足した食生活を続けていると、便が硬くなり排便時に腸内圧が高まります。その結果として腸の壁が外側に押し出され、小さなくぼみ(憩室)が形成されやすくなります。
憩室炎の直接的な原因は、こうした憩室内に便や細菌が入り込んで感染を起こすことです。憩室内にたまった内容物が排出されにくい状態になると、細菌が繁殖し、局所的な炎症を引き起こします。また、高齢者や便秘傾向のある方、肥満、喫煙習慣がある方は、憩室炎を発症しやすいとされています。
憩室炎の治療法
治療は、症状の程度によって異なります。軽症の場合には、腸を安静に保つための食事制限とともに、抗菌薬を内服することで多くのケースが改善します。この段階では、食事は一時的に流動食や絶食とし、腸への刺激を最小限に抑えることが重要です。
一方で、発熱や強い腹痛、炎症反応が著しい場合には、点滴による抗菌薬治療が必要になることもあります。腸の穿孔や膿瘍、狭窄が疑われるような重篤な状態では、CTなどの画像検査を行い、必要に応じて入院治療や外科的な処置を検討します。
再発を防ぐためには、治療後の生活習慣の見直しが欠かせません。特に、便通を良好に保つための食物繊維を意識した食生活や、適度な運動、水分摂取が推奨されます。慢性的な便秘がある方は、早めに対策を講じることが再発予防につながります。
