食道がんとは
食道がんは、食べ物が通る管である食道の粘膜から発生する悪性腫瘍です。日本では40歳以上の成人に多くみられ、男性に発症が多い傾向があります。食道は咽頭と胃をつなぐ約25センチの管状の臓器で、飲食物を胃に運ぶ役割を担っています。この部位にできるがんは進行が早く、周囲の組織やリンパ節に広がりやすいため、早期発見と治療が非常に重要です。
食道がんには主に扁平上皮がんと腺がんの2種類があり、日本では扁平上皮がんが多いとされています。近年では腺がんの割合も増加傾向にあり、食道がん全体の診療において多様な対応が求められています。
食道がんの症状
食道がんは初期に症状がほとんどないことが多く、自覚しにくいのが特徴です。進行すると、飲み込みにくさやつかえ感、胸や背中の痛み、体重減少などが見られます。特に食事中や飲み込み時の違和感が続く場合は注意が必要です。
また、食道の狭窄が進むと、固形物が通りにくくなり、流動食や液体でなければ摂取できなくなることもあります。声のかすれや慢性的な咳、場合によっては吐血や黒い便が出ることもあるため、こうした症状が続く場合は速やかに専門医を受診することが求められます。
食道がんの原因
食道がんの発症には複数の要因が関与します。代表的なリスクとして、長期間の喫煙や過度の飲酒があり、特に両者を併用すると発症率は相乗的に高まります。飲酒では、顔が赤くなりやすい「フラッシャー体質」(ALDH2酵素活性の低下)を持つ人はアセトアルデヒドの分解が遅れ、粘膜障害や発がんリスクがさらに増します。
また、慢性的な逆流性食道炎やバレット食道は腺がんの重要な危険因子であり、欧米化した食生活による肥満や高脂肪食の増加も発症に関与します。その他、遺伝的素因、野菜・果物不足によるビタミン欠乏、熱い飲み物の頻繁な摂取、特定の化学物質への曝露などもリスク要因として知られています。
食道がんの治療法
食道がんの治療は、病期やがんの種類、患者さんの全身状態に応じて複数の選択肢があります。早期がんであれば内視鏡的切除術が有効で、身体への負担が少ない方法として広く実施されています。内視鏡でがん部分を直接切除することで、機能を温存しつつ根治を目指せます。
進行がんの場合は、外科手術による食道の切除が基本となりますが、化学療法や放射線療法を組み合わせることも多いです。これらの集学的治療により、治癒率の向上と生活の質の維持を両立させることが目標となります。
また、術後の再発予防や症状緩和を目的とした治療も重要です。食道がんは早期発見が難しいため、定期的な内視鏡検査やリスクのある方の生活習慣改善が予防において非常に重要です。
