胃潰瘍とは
胃潰瘍とは、胃の粘膜がただれて深く傷つき、組織の一部が欠損してしまう状態を指します。日常的な胃もたれや胃痛とは異なり、潰瘍は粘膜の深部にまで達するため、出血や穿孔などの合併症を引き起こすこともあります。
胃は通常、胃酸から自らを守る粘液を分泌し、強い酸性の環境にも耐えられるようになっています。しかし何らかの要因によってこのバランスが崩れると、胃酸が粘膜を傷つけ、潰瘍が形成されます。男女問わず幅広い年代で見られますが、特に働き盛りの世代では、ストレスや生活習慣の影響によって発症リスクが高まる傾向があります。
胃潰瘍の症状
胃潰瘍の代表的な症状には、みぞおち周辺の痛みや不快感があります。この痛みは空腹時や夜間に強くなることがあり、食事を摂ると一時的に和らぐという特徴があります。ほかにも、胃の張り、吐き気、食欲不振、体重減少といった症状が見られることもあります。
進行した潰瘍では、胃の中で出血が起こり、吐血や黒色便(タール状の便)が現れる場合があります。また、潰瘍が胃壁を貫通する「穿孔」が起こると、激しい腹痛とともに腹膜炎を引き起こし、緊急の治療が必要になります。これらの症状が見られた場合には、すみやかに医療機関を受診することが大切です。
胃潰瘍の原因
胃潰瘍の発症には、いくつかの主な要因が関係しています。中でも大きな割合を占めるのが「ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)」の感染です。ピロリ菌は胃の中に生息し、粘膜を慢性的に炎症させることで潰瘍を形成しやすくします。
また、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」の長期使用も原因のひとつです。これらの薬剤は胃の防御機能を弱め、粘膜が胃酸の影響を受けやすくなるため、潰瘍のリスクが高まります。
さらに、過度のストレスや不規則な食生活、喫煙、アルコールの過剰摂取も、胃に負担をかける要因となります。近年では、ライフスタイルの変化や食習慣の欧米化も背景にあり、若い世代にも胃潰瘍が見られるようになってきました。
胃潰瘍の治療法
胃潰瘍の治療は、主に薬物療法が中心となります。胃酸の分泌を抑える薬や、胃粘膜の修復を助ける薬を組み合わせて使用することで、多くの場合は数週間で症状が改善されます。
原因がピロリ菌である場合には、除菌療法が行われます。除菌には複数の薬剤を1週間服用する必要がありますが、再発予防の観点からも非常に重要な治療となります。
一方で、薬の副作用や長期使用によって生じた潰瘍では、NSAIDsの中止や薬剤の変更を検討する必要があります。治療の効果を十分に引き出すためには、医師の指示に従って継続的に内服し、定期的な内視鏡検査を行うことが望まれます。
また、再発を防ぐためには、生活習慣の見直しも欠かせません。規則正しい食事、禁煙、節度ある飲酒、ストレスマネジメントなど、日々の小さな積み重ねが胃の健康を守る鍵となります。
