胃腸炎とは
胃腸炎とは、胃や腸の粘膜に炎症が起きた状態を指します。胃腸の粘膜は、外から入ってくるウイルスや細菌、食物などの刺激から身体を守る役割を担っていますが、さまざまな原因によってこの防御機能が乱されると、炎症が引き起こされます。
胃腸炎は年齢や体力を問わず誰にでも起こりうる病気であり、特に季節の変わり目や、衛生状態が悪化しやすい時期には注意が必要です。急性のものから慢性に移行するものまであり、原因に応じて症状の現れ方や治療の方法も異なってきます。
日常的に起こる胃の不快感や下痢を「軽い胃腸炎」と捉えてしまいがちですが、感染症として周囲に広がるものもあるため、早めの対応が大切です。
胃腸炎の症状
胃腸炎の症状は、原因や体質によって多少の差がありますが、代表的なものとしては吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、発熱などが挙げられます。特に急性の胃腸炎では、突然の強い吐き気や下痢を伴って発症することが多く、体力を大きく消耗するケースも少なくありません。
感染性胃腸炎の場合には、症状が始まる数時間前からすでにウイルスや細菌の排出が始まっていることもあり、周囲への感染リスクにも配慮が必要です。一方で、慢性的に炎症が続くタイプでは、持続的な胃の不快感や食欲不振、軟便傾向などが見られます。
また、高齢の方や持病のある方では、脱水や電解質バランスの乱れにより重症化することもありますので、体調の変化に早めに気づくことが大切です。
胃腸炎の原因
胃腸炎の原因には、大きく分けて感染性と非感染性があります。
感染性胃腸炎の代表格としては、ノロウイルスやロタウイルス、細菌(カンピロバクターやサルモネラなど)によるものが知られています。これらは主に汚染された食べ物や飲み物、手指を介して体内に入り、胃腸の粘膜に炎症を起こします。
一方、非感染性の胃腸炎は、暴飲暴食、香辛料やアルコールの摂取、過度のストレス、薬剤(特に消炎鎮痛薬)などが引き金となります。これらは細菌やウイルスが関与していないため、人にうつることはありませんが、症状は感染性と同様に激しい場合があります。
また、慢性的な胃腸炎の背景には、ピロリ菌の感染や機能性消化管障害といった病態が関係していることもあります。内視鏡による検査で炎症の範囲や性質を確認し、原因を正確に見極めることが、適切な治療の第一歩です。
胃腸炎の治療法
胃腸炎の治療は、原因と症状の程度に応じて異なります。ウイルス性の場合は特効薬がないことが多いため、水分補給や安静を中心に、体の自然な回復力を助けることが基本となります。嘔吐や下痢によって失われた水分や電解質を補うことが、重症化を防ぐうえで非常に重要です。
細菌性胃腸炎では、症状や検査結果に応じて抗菌薬を使用することがありますが、すべてのケースで薬を用いるわけではありません。自己判断で市販薬を使用すると、かえって症状を長引かせてしまうこともあるため、医療機関での診断を受けることをお勧めします。
また、非感染性の胃腸炎では、生活習慣の見直しが再発予防の鍵となります。アルコールや刺激物の摂取を控えること、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。薬剤が原因と考えられる場合には、必要に応じて服薬内容の調整を行うこともあります。
慢性的な症状がある方、何度も再発を繰り返している方は、内視鏡検査によって胃腸の状態を詳しく確認し、必要に応じてピロリ菌検査や組織検査を行うことが勧められます。
