潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる疾患で、主に直腸から大腸全体にかけて炎症が広がる傾向があります。自己免疫の異常が関与していると考えられており、日本を含む先進国で年々患者数が増加している病気です。若年層から中年層にかけての発症が多いとされていますが、近年では高齢者での発症も少なくありません。
この疾患は「炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)」に分類され、同じカテゴリーに属するクローン病とは異なり、炎症が連続して広がる特徴があります。自然治癒することは少なく、寛解と再燃を繰り返す経過をたどることが一般的です。
潰瘍性大腸炎の症状
潰瘍性大腸炎の代表的な症状は、血液や粘液が混じった下痢です。排便の回数が増えたり、強い腹痛や残便感に悩まされることもあります。症状は病変の範囲や炎症の程度によって異なり、軽度では便に少量の血が混じる程度で済む場合もあれば、重度では日に何度もトイレに駆け込まなければならないこともあります。
加えて、発熱や倦怠感、体重減少などの全身症状を伴うこともあり、進行すると貧血や栄養障害を引き起こすこともあります。また、関節痛や皮膚症状、眼の炎症など、大腸以外の部位に症状が現れることもあるため、注意が必要です。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の明確な原因はまだ特定されていませんが、複数の要因が重なって発症すると考えられています。主な要因の一つとして、免疫システムの異常が挙げられます。通常であれば腸内の細菌に対して過剰に反応しない免疫系が、何らかのきっかけで自分自身の腸粘膜を攻撃してしまうことがあるとされています。
また、遺伝的な素因も関与しており、家族内に同じ病気を持つ人がいる場合、発症リスクが高まる傾向にあります。さらに、近年では食生活の欧米化やストレス、腸内細菌のバランスの乱れ、喫煙や環境因子なども関連しているとする報告が増えてきています。
潰瘍性大腸炎の治療法
潰瘍性大腸炎は完治が難しい疾患ではありますが、適切な治療によって症状を抑え、日常生活を維持することは十分に可能です。治療の基本は、炎症を鎮めて腸粘膜を回復させ、再発を予防することにあります。
主に用いられる薬剤には、5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)、副腎皮質ステロイド、免疫調整薬、生物学的製剤などがあります。症状の程度や再燃の頻度に応じて、薬剤を組み合わせたり調整したりしながら継続的に治療を行います。
内科的治療だけでは十分な効果が得られない場合や、重篤な合併症が生じた場合には、外科手術によって大腸の一部または全体を切除する選択肢もあります。現在では手術の技術も進歩しており、術後の生活の質を大きく損なわないよう配慮された治療が行われています。
当院では、お一人おひとりの症状や生活背景を丁寧にお聞きし、必要に応じて専門医と連携を図りながら最適な治療法をご提案しています。症状の悪化を防ぐためにも、早期の診断と継続的なフォローが重要です。お腹の不調が続く場合には、お気軽にご相談ください。
