下痢とは
下痢とは、通常よりも水分を多く含んだ便が頻繁に出る状態を指します。単なる一時的な体調不良と考えられがちですが、その背景には感染症や慢性疾患など、さまざまな要因が隠れていることがあります。特に長引く下痢や繰り返す下痢は、体にとって大きな負担となり、生活の質を下げるだけでなく、重大な病気のサインであることもあるため注意が必要です。
下痢の定義・特徴
医学的には、1日の排便回数が増え、便の水分量が80%以上に増えた状態を下痢と呼びます。水のような便だけでなく、泥状や半固形の便も含まれます。また、下痢は急に起こることもあれば、数週間以上続く慢性的な形を取ることもあります。
下痢を軽視してはいけない理由(脱水・基礎疾患の可能性)
下痢が続くと、体内の水分と電解質が大量に失われ、脱水症状や電解質異常を引き起こします。これにより全身のだるさやめまい、心臓や腎臓への負担が大きくなります。さらに、慢性下痢の背景には潰瘍性大腸炎や大腸がんなど、深刻な病気が隠れている可能性もあるため、「よくあること」として放置せず、早めの受診が大切です。
症状チェックリスト:受診の目安
継続期間(例:4週間以上)
一過性の下痢であれば自然に治まりますが、4週間以上続く場合は慢性下痢の可能性が高く、医療機関での精密検査が必要です。
頻度・性状(例:水様便、血便、粘液便)
水のような下痢が続く場合はウイルスや細菌による感染の可能性があります。血が混じる便や粘液が出る場合は、大腸の炎症や腫瘍が関与していることもあり、特に注意が必要です。
併発症状(発熱、腹痛、体重減少、脱水症状など)
下痢に加えて発熱や強い腹痛がある場合は、急性腸炎や炎症性腸疾患が考えられます。また、体重減少や慢性的な倦怠感を伴う場合は、がんや慢性炎症性疾患の可能性も否定できません。
原因と分類
急性下痢 vs 慢性下痢
急に始まる下痢は感染症や食中毒が原因であることが多く、適切な治療で数日以内に改善する場合があります。一方で、4週間以上続く慢性下痢は、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患、消化吸収不良などが関係していることが多く、専門的な診断が必要です。
感染性下痢(ウイルス・細菌・寄生虫)
ノロウイルスやサルモネラ菌などの感染症によって、急激な下痢や嘔吐を伴う症状が起こることがあります。発症は突然で、短期間に家族や周囲に広がるのも特徴です。
機能性下痢(過敏性腸症候群など)
検査で異常が見つからないにもかかわらず、ストレスや自律神経の乱れによって下痢が起こるケースがあります。特に朝の通勤前や緊張時に症状が強く出るのが特徴です。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など)
若い世代にも発症する慢性疾患で、下痢や血便が長期間続きます。放置すると大腸の粘膜に炎症や潰瘍が広がり、長期的な合併症のリスクも高まります。
薬剤性下痢・副作用
抗生物質や抗がん剤、一部の糖尿病治療薬などが下痢を引き起こすことがあります。服薬歴の確認は診断に欠かせません。
消化不良・食物不耐症(乳糖不耐、脂肪吸収不良など)
牛乳や乳製品で下痢を繰り返す場合は乳糖不耐症の可能性があります。脂質の消化が不十分な場合も慢性的な下痢の原因となります。
腸管の器質的異常(腸管狭窄、腫瘍、虚血性腸炎など)
腸の形態的な異常が原因で便の通過が妨げられ、下痢と便秘を繰り返す場合があります。特に中高年の方は大腸がんの早期発見につながるため、注意が必要です。
当院で実施できる検査・診断手法
まず問診で、発症時期や食事内容、旅行歴、服薬歴などを丁寧に確認します。 その上で、詳細な診断が必要な場合は、大腸カメラを用いて腸管の粘膜を直接観察し、炎症や腫瘍(ポリープ・がん)の有無を正確に診断します。感染性腸炎が疑われる場合は便の培養検査を行います。
※CT検査や超音波検査など、他の検査が必要と判断した場合は、速やかに連携医療機関をご紹介いたします。
治療方針と対処法
下痢の治療は原因によって異なりますが、共通して大切なのは脱水を防ぐことです。水分と電解質を含む飲料の摂取が重要であり、重症の場合は点滴治療が必要になることもあります。
食事は消化の良いものを中心にし、脂肪分や香辛料などの刺激の強い食品は避けるよう指導します。薬物療法では、止瀉薬や整腸剤、プロバイオティクスなどを用いますが、安易に薬で抑えるのではなく、原因を突き止めて根本的な治療を行うことが基本です。炎症性腸疾患などが見つかった場合には、専門的な薬物療法が必要になります。
再発予防と生活習慣の工夫
下痢を防ぐためには、生活習慣の見直しが欠かせません。普段から手洗いを徹底し、食材の衛生管理を怠らないことが重要です。また、過度に冷たい飲み物や脂っこい食事は腸に負担をかけるため、食生活を整えることが再発予防につながります。
ストレスや不規則な生活も腸の働きを乱す要因です。規則正しい生活リズムを保ち、心身をリラックスさせることも大切です。慢性的に下痢を繰り返す方は、定期的な内視鏡検査で腸の状態を確認することをおすすめします。
このようなケースはすぐに受診を
急激に水のような下痢が続く場合や、短時間で便の回数が増える場合は、早急に医師の診察が必要です。血便や粘液便が見られるときも自己判断せず受診してください。高齢者や小児では脱水が進行しやすく、命に関わることもあります。さらに、体重が急に減少したり、原因のはっきりしない症状が続く場合は、重大な病気が隠れている可能性があるため早めに医療機関を受診してください。
当院の特徴・診療方針
当院では、内視鏡専門医が在籍し、患者さんの負担をできる限り少なくする検査を行っています。鎮静剤を用いた苦痛の少ない大腸カメラや胃カメラを導入し、安心して検査を受けられる体制を整えています。また、検査や治療にあたっては丁寧な説明を心がけ、患者さんに納得いただいたうえで進めてまいります。下痢に悩まれている方が安心して相談できるよう、検査後のフォローや生活習慣のアドバイスも含めたトータルケアを大切にしています。
