吐き気とは
吐き気は、体が「何か異常がある」と感じたときに出すSOSサイン(防御反応)です。
「胃が悪い」と思われがちですが、実際に「吐け!」という指令を出しているのは脳(嘔吐中枢)です。胃腸の不調だけでなく、目や耳からの情報(乗り物酔い)、ストレス、脳の病気など、さまざまな情報が脳に集まった結果として「気持ち悪い」という感覚が起こります。
症状のタイプと原因のヒント
「いつ」「どのような状況で」気持ち悪くなるかが、原因を探る大きな手がかりになります。
食事に関係する吐き気
- 食後に気持ち悪い:
胃の働きが落ちて消化不良を起こしている(胃もたれ・機能性ディスペプシア)や、食中毒などが考えられます。 - 空腹時に気持ち悪い:
胃酸が出すぎて胃の粘膜を刺激している可能性があります(胃炎・胃潰瘍)。 - 胸やけを伴う:
酸っぱい液体が上がってくる感覚があれば、胃酸が逆流しています(逆流性食道炎)。
めまいや頭痛を伴う吐き気
- ぐるぐる回るめまい:
耳(内耳)の異常が疑われます(メニエール病など)。 - ズキズキする頭痛:
片頭痛の前兆や症状として強い吐き気が出ることがあります。 - 突然の激しい頭痛:
くも膜下出血などの脳の病気の可能性があるため、緊急性が高いサインです。
ストレス・自律神経による吐き気
- 緊張するとオエッとなる:
脳と胃腸は自律神経で繋がっています。過度なストレスや緊張で自律神経が乱れると、胃が動かなくなったり、逆に過敏になったりして吐き気を催します。
主な原因
原因は「お腹の問題」と「それ以外」に大きく分けられます。
胃腸のトラブル(消化器系)
- 急性胃炎・胃潰瘍: ピロリ菌、痛み止め(ロキソニン等)の副作用、ストレスなどで胃が荒れている状態。
- 逆流性食道炎: 胃酸が食道へ逆流し、のどの不快感や吐き気を引き起こします。
- 感染性胃腸炎: ウイルスや細菌による食中毒。下痢や発熱を伴うことが多いです。
- 便秘: 便が溜まって腸の圧力が高まると、逃げ場を失って吐き気として現れます。
胃腸以外のトラブル
- 耳・脳の病気: メニエール病、片頭痛、脳出血など。
- 薬の副作用: 抗生物質、痛み止め、ピル、抗がん剤など。
- ホルモンバランス: 生理前後(PMS)、妊娠初期(つわり)。
危険なサイン(すぐに受診を)
単なる食べ過ぎや一時的なストレスなら様子を見ても大丈夫ですが、以下のような場合は隠れた病気の可能性があります。
- 激しい頭痛を伴う(脳の病気の可能性)
- 激しい腹痛がある、お腹が板のように硬い
- 嘔吐物に血が混じる、コーヒーの残りカスのような色をしている
- 水分が摂れないほどの嘔吐が続く(脱水の危険)
- 頭をぶつけた後に吐き気がする
検査と診断
原因を絞り込むために、問診と検査を行います。
問診
「いつから?」「食事との関係は?」「飲んでいる薬は?」などを伺います。
検査
- 腹部エコー・レントゲン: 胃腸の腫れや、胆石などがないかを見ます。
- 血液検査: 炎症の数値や、肝臓・腎臓の数値を調べます。
- 胃内視鏡(胃カメラ): 胃の中を直接見て、潰瘍やがんの有無を確認します。
- 脳や耳の異常が疑われる場合は、専門の科(脳神経外科・耳鼻科)へ紹介することもあります。
治療とホームケア
まずは「不快感を取り除くこと」と「胃腸を休めること」が基本です。
医療機関での治療
- 制吐剤(吐き気止め): 嘔吐中枢の指令をブロックして楽にします。
- 胃薬: 胃酸を抑えたり、胃の動きを助けたりする薬を処方します。
- 点滴: 嘔吐で水分が摂れない場合は、点滴で水分と栄養を補給します。
自宅でのケア
- 食事: 吐き気が強い時は無理に食べず、水分(OS-1やスポーツドリンク)を少しずつ摂ります。落ち着いてきたら、おかゆやうどんなど消化の良いものから始めましょう。
- 姿勢: 食後すぐに横になると逆流しやすくなります。座って休むか、右側を下にして横になると胃の出口が下になり、消化がスムーズになります。
- リラックス: 香りの強いものやスマホの画面を見るのを避け、楽な服装で安静にしましょう。
