便が細いとは
「最近、便が細くなった気がする」「排便してもスッキリしない」 こうした症状は、単なる便秘や下痢の延長であることもあれば、大腸がんなどのSOSサインであることもあります。 一時的なものであれば心配ありませんが、続くようであれば専門医の診察を受けることが必要です。
「便が細い」とはどういう状態?
健康な便は、バナナのような太さと適度な硬さがあります。 しかし、何らかの原因で腸の通り道が狭くなったり、便を押し出す力が弱まったりすると、うどんや鉛筆のように細い便しか出なくなることがあります。
医学的には主に以下の2つのパターンが考えられます。
- 器質的変化(病気によるもの):がんやポリープ、炎症などで腸の内側が物理的に狭くなっている。
- 機能的変化(働きによるもの):腸の動き(蠕動運動)の乱れや、肛門括約筋の調整不足。
原因:病気なのか、生活習慣なのか
「便が細い」原因は多岐にわたりますが、大きく分けて「治療が必要な病気」と「生活習慣・体質」の2つに整理できます。
【要注意】腸の病気が原因のケース
腸の中に障害物があり、物理的に便が通りにくくなっている状態です。
- 大腸がん(特に直腸がん・S状結腸がん)
肛門に近い場所にがんができると、便の通り道が狭くなり、便が細くなるのが典型的なサインです。 - 大腸ポリープ
大きなポリープができると、がん同様に便の通り道を塞いでしまいます。 - 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
長期間の炎症により腸の壁が厚くなり、通り道が狭くなる(狭窄)ことがあります。 - 痔(いぼ痔・切れ痔)
大きないぼが内側に張り出したり、繰り返す切れ痔で傷跡が硬く縮こまったりすることで、出口そのものが狭くなる(肛門狭窄:こうもんきょうさく)ことがあります。
生活習慣や体質が原因のケース
- 過敏性腸症候群(IBS):ストレス等で腸が痙攣(けいれん)し、便が細切れになったり軟らかすぎたりします。
- 食事・水分不足:便の材料(食物繊維)や水分が足りず、十分な太さの便が作られない状態です。
- 筋力低下:腹筋や骨盤底筋が弱り、太い便をしっかり押し出す力が不足しています(高齢の方や女性に多い)。
この症状があったらすぐに受診を
「便が細い」ことに加えて、以下の症状がある場合は、大腸がんなどの病気が隠れている可能性が高まります。様子を見ずに、早めに受診してください。
- 血便(便に血が混じる、拭いた紙に血がつく)
- 残便感(出した後もまだ残っている感じがする)
- 便通異常(下痢と便秘を繰り返す)
- 腹痛(お腹の張りや痛みが続く)
- 体重減少(ダイエットをしていないのに痩せてきた)
必要な検査と診断
原因を特定するためには、大腸の中を直接確認することが最も確実です。
- 下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)
最も推奨される検査です。肛門からカメラを挿入し、「何が腸を狭くしているのか」を直接観察します。ポリープが見つかればその場で切除し、がんの予防・治療を行うことも可能です。 - 便潜血検査
目に見えない血液が混ざっていないかを調べます(あくまでスクリーニングであり、原因の特定はできません)。 - 腹部CT・大腸CT
腹部CTでは腸の外側や周囲の臓器への広がりを、大腸CTでは腸の内側を3D画像で再現し、カメラを入れずにポリープや狭窄の有無を確認します。
治療と対策
検査結果に基づいて、適切な治療を行います。
- 病気が見つかった場合
ポリープであれば内視鏡で切除します。がんや重度の炎症が見つかった場合は、進行度に応じて手術や薬物療法を行います。 - 病気がなかった場合(機能性)
生活習慣の改善(食物繊維の摂取、運動)や、整腸剤・消化管運動機能改善薬などを用いて、便の性状をコントロールします。
「便が細い」という症状は、特に直腸がん(肛門のすぐ奥のがん)の重要なサインであることが少なくありません。 「痔だろう」「ただの軟便だろう」と自己判断して放置してしまうことが一番のリスクです。40歳以上の方や、細い便が続いている方は、大腸内視鏡検査を受けることを強くお勧めします。
